お知らせ
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作成日:2025/01/22
【高年齢者雇用】定年到達年齢と継続雇用制度について



こんにちは!

 今日は、「高齢者の雇用」についてです。


 定年は原則として、60歳を下回ることができないとされています(高年齢者雇用安定法8条)。

 また、65歳未満の定年を設けている事業主には、定年の引き上げ、定年の廃止、65 歳まで希望者を継続雇用する制度の導入のうち、いずれかの措置を講じることが求められています(高年齢者雇用安定法9条1項。高年齢者雇用確保措置と呼ばれています)。

 さらに、令和3年4月の高年齢者雇用安定法改正で、70歳までの就業機会確保のための措置を講じることが努力義務とされました(高齢者雇用安定法10条2項。高齢者就業確保措置とよばれます)。

 現時点で最も多くの事業主が採用していると思われるのは、定年を60歳としたうえで、65歳まで希望者を継続雇用する継続雇用制度を設ける制度設計です。

 令和3年の統計では、従業員21人以上の企業のうち約72%が定年後の継続雇用制度を設けています。(厚生労働省 「高齢者の雇用状況」集計)。

 そして、雇用継続は多くの場合、定年から65歳までの期間について1年の有期雇用の更新を繰り返す形で行われます。これらの現状を踏まえ、満60歳を定年とします。

 ただし、人材確保の必要性等から、定年を65歳とする事業所も増えており、前述の統計でも、従業員21人以上の企業も約21%が定年を65歳としています。

 現在努力義務とされている、70歳までの就業機会確保が将来義務化されることも予想されるところです。 
 義務化に向けた対応の準備を進めるという観点から、定年を65歳としたうえで、70歳までの継続雇用制度を設ける制度設計を検討すべきです。

※なお、高年齢者雇用安定法は、平成25年3月までは、労使協定により、65歳までの継続雇用制度の対象を一定の基準を満たした労働者に限定することを認めていました。
法改正により、この制度は廃止されましたが、上記までに労使協定を締結していた事業主については経過措置として、令和4年4月以降も令和7年3月までは、労使協定に定めた基準に満たない労働者については、64歳に達した後は継続雇用制度の対象から外すことが認められています。

■70歳までの就業機会確保に向けた修正例

 5つの選択肢があります。

 令和3年4月の高年齢雇用安定法改正で、70歳までの就業機会確保のための措置を講じることが努力義務とされました(高年齢者雇用安定法10条の2)。


65歳から70歳までの就業機会確保については、以下の5つの選択肢が設けられています。

ア 雇用による就業機会確保
・70歳までの定年引上げ
・定年廃止
・70歳までの継続雇用制度導入

イ 雇用によらないで就業機会確保(創業支援等措置)

・70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
・70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入

 このように65歳から70歳までの就業機会確保については、雇用による就業機会確保だけでなく、業務委託等の雇用によらない方法による就業機会確保(創業支援等)も選択できる内容になっています。


 70歳までの継続雇用制度を導入する場合も、65歳までの継続雇用制度は解雇事由または退職事由に該当しない限り希望者全員を対象とすることが必要にあるのに対し、65歳以降については、努力義務であることから、対象となる従業員を選定する基準を設けることが可能です。例えば、人事考課等に基づく対象者基準の設定が可能です。


4つのパターンの規定例

1)定年を満70歳とする例

2)定年を満65歳とし、その後希望者全員を70歳まで継続雇用する例


3)定年を満60歳とし、満65歳までは希望者全員を継続雇用し、満65歳以降は対象者基準を満たす従業員のみ満70歳まで継続雇用する例


4)定年を満65歳とし、満65歳以降は対象者基準を満たす従業員のみ、継続雇用または業務委託契約で満70歳まで就業機会を確保する例

 努力義務に対応する場合、これらのパターンを参考に対応方法を、事業の状況に応じて、検討することが必要です。

 なお、有期労働契約が通算5年をこえて繰り返し更新された場合に、雇用期間の定めのない労働契約への転換を請求する権利が発生します(労働契約法18条)。

これを無期転換権といいます。

 60歳以降、有期契約を継続し、70歳で雇用の終了を予定している場合は、この無期転換権が発生すると不都合になるため、定年後継続雇用する従業員について無期転換権を排除する有期雇用特別措置法の特例を利用検討することが必要になります。


最後に4)のパターンについて

 65歳以降の従業員を活用できる職場が現時点で十分に確保できているとは 言えない事業主においては、この方法で対応することが最も取り組みやすいとおもわれます。

 この方法は、選択された従業員のみに絞って 65歳以降の就業の対象とすることができ、また、有期雇用の期間が5年を超えないため、無期転換の問題も発生しないというメリットがあります。

以上です。

最後までお読みいただきありがとうございました!



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